ティモール島の化石化した不思議な祖先夫婦像(博物館クラス!) 1万7千もの島々から成り、大きく分けても300とも言われる民族で構成されるインドネシア共和国は、世界的なプリミティブ・アートの宝庫としても知られています。東端のイリアンジャヤ州南西部のアスマット地方に見られる精緻なアスマット彫刻。そしてカリマンタン(旧ボルネオ)島のダヤク族が生み出した、数々の木彫りアート。しかし、バリ島の東に連なる小スンダ列島も、実は世界クラスの原始美術の故郷なのです。ただ残念なことに、アスマットやダヤクのプリミティブ・アートが異常に注目を集める中にあって、小スンダ列島のそれは、収集に着手され始めた時代が遅かったため、本来なら博物館クラスの逸品として評価されたであろうものが、朽ち果てて現存しないことです。高温多湿の気候条件が、木彫の寿命を左右したのです。 写真の木彫は、奇跡的にもそういった劣悪な気象条件下でおよそ80年以上も、ほぼ原型を留めることができた、文字通り博物館クラスの貴重な祖先夫婦像です。ティモール島中部地方でDr. Maurius van den Hout(下記説明参照)が第二次世界大戦前に収集したものです。この彫刻の特徴はなんといっても、その化石化したかのような素材にあります。それが故、ながきに渡り原状を残せたのでしょう。サイズに比べ、通常の木彫では感じることができない重量感があります。それは、この夫婦の祖先像が、地中に埋まっていた化石化の途上にあった木材を素材に彫られたことと関係しているのでしょう。木というよりも石像の手触りに近いものがあります。とは言え、このペア先祖像は、その素材の古さが故に、実にユニークそして希少性の高い性格を持ち合わせています。それは、一見したところでは気付きませんが、良く見ると、胴体を貫く空洞があるということです。それが、この樹木が生きていた時代の虫食いに起因するものなのか、それともその他の理由によるものなのかは分かりませんが、特に股間部分を下側から覗くと、細い空洞がくっきりと開き、上部へと続いています。 男性像のサイズは、高さが約54cm、台座部の最大直径が約10cm。最大横幅は12cm。重さはおよそ2.8kg。この像の“空洞”部分は、台座の中心部、左大腿部から体内にかけた部分にあります。その一部は、臍の辺りと、喉の下側に細い裂け目となって現れています。また、頭上にも下側から続く“空洞”が開いています。さらに右足後方の台座部分も抉れています。顔がやや右の方向を向いて彫られていますが、これは、左頬からこめかみにかけて長さ約6.5cmの深い溝(つまり“空洞”の一部とも言えます)があったことから、製作スタートの段階で、敢えてそのまま溝を残した結果と想像されます。 一方女性像は、高さが約48cm、台座の最大直径が約6cm、大きな顔の最大横幅がおよそ9cm、重さは約1.8kg。後頭部に深い空洞がのぞいています。また右頬も削れた個所があります。そして男性像同様に頭上に穴が開いています。その空洞は、台座の中央に見られる穴、そして股間部内部から上方へと続く空洞と連続していたものでしょう。 この木彫のプロビナンスは、Dr. Maurius van den Houtです。インドネシアがオランダ植民地であった時代、オランダ領東インド(今日のインドネシア)政府の高級公務員であったDr. Mauriusは、趣味でインドネシア各地から最高レベルのアート作品を収集しました。しかし、日本軍がインドネシアへ侵攻する直前、氏はバリ人の妻と共に、コレクションの一部を手にオーストラリアへ避難しました。そして今日、氏の膨大なコレクションが、子孫の意向で二年ほど前より売却され始めました。 (注)商品説明でも詳述しましたが、外見からは見えない不思議な空洞が体内を下から上まで貫いています。これは、彫られた後に虫食いにあったものではなく、もともと、そうした素材を使ったためです。予めご了承お願い致します。 インドネシア文化宮は、インドネシアの24時間ニューステレビ局『メトロTV』東京支局がプロデュースするインドネシア情報発信基地です。 インドネシア文化宮ブログサイト:http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/
1万7千もの島々から成り、大きく分けても300とも言われる民族で構成されるインドネシア共和国は、世界的なプリミティブ・アートの宝庫としても知られています。東端のイリアンジャヤ州南西部のアスマット地方に見られる精緻なアスマット彫刻。そしてカリマンタン(旧ボルネオ)島のダヤク族が生み出した、数々の木彫りアート。しかし、バリ島の東に連なる小スンダ列島も、実は世界クラスの原始美術の故郷なのです。ただ残念なことに、アスマットやダヤクのプリミティブ・アートが異常に注目を集める中にあって、小スンダ列島のそれは、収集に着手され始めた時代が遅かったため、本来なら博物館クラスの逸品として評価されたであろうものが、朽ち果てて現存しないことです。高温多湿の気候条件が、木彫の寿命を左右したのです。
写真の木彫は、奇跡的にもそういった劣悪な気象条件下でおよそ80年以上も、ほぼ原型を留めることができた、文字通り博物館クラスの貴重な祖先夫婦像です。ティモール島中部地方でDr. Maurius van den Hout(下記説明参照)が第二次世界大戦前に収集したものです。この彫刻の特徴はなんといっても、その化石化したかのような素材にあります。それが故、ながきに渡り原状を残せたのでしょう。サイズに比べ、通常の木彫では感じることができない重量感があります。それは、この夫婦の祖先像が、地中に埋まっていた化石化の途上にあった木材を素材に彫られたことと関係しているのでしょう。木というよりも石像の手触りに近いものがあります。とは言え、このペア先祖像は、その素材の古さが故に、実にユニークそして希少性の高い性格を持ち合わせています。それは、一見したところでは気付きませんが、良く見ると、胴体を貫く空洞があるということです。それが、この樹木が生きていた時代の虫食いに起因するものなのか、それともその他の理由によるものなのかは分かりませんが、特に股間部分を下側から覗くと、細い空洞がくっきりと開き、上部へと続いています。
男性像のサイズは、高さが約54cm、台座部の最大直径が約10cm。最大横幅は12cm。重さはおよそ2.8kg。この像の“空洞”部分は、台座の中心部、左大腿部から体内にかけた部分にあります。その一部は、臍の辺りと、喉の下側に細い裂け目となって現れています。また、頭上にも下側から続く“空洞”が開いています。さらに右足後方の台座部分も抉れています。顔がやや右の方向を向いて彫られていますが、これは、左頬からこめかみにかけて長さ約6.5cmの深い溝(つまり“空洞”の一部とも言えます)があったことから、製作スタートの段階で、敢えてそのまま溝を残した結果と想像されます。
一方女性像は、高さが約48cm、台座の最大直径が約6cm、大きな顔の最大横幅がおよそ9cm、重さは約1.8kg。後頭部に深い空洞がのぞいています。また右頬も削れた個所があります。そして男性像同様に頭上に穴が開いています。その空洞は、台座の中央に見られる穴、そして股間部内部から上方へと続く空洞と連続していたものでしょう。
この木彫のプロビナンスは、Dr. Maurius van den Houtです。インドネシアがオランダ植民地であった時代、オランダ領東インド(今日のインドネシア)政府の高級公務員であったDr. Mauriusは、趣味でインドネシア各地から最高レベルのアート作品を収集しました。しかし、日本軍がインドネシアへ侵攻する直前、氏はバリ人の妻と共に、コレクションの一部を手にオーストラリアへ避難しました。そして今日、氏の膨大なコレクションが、子孫の意向で二年ほど前より売却され始めました。
(注)商品説明でも詳述しましたが、外見からは見えない不思議な空洞が体内を下から上まで貫いています。これは、彫られた後に虫食いにあったものではなく、もともと、そうした素材を使ったためです。予めご了承お願い致します。 インドネシア文化宮は、インドネシアの24時間ニューステレビ局『メトロTV』東京支局がプロデュースするインドネシア情報発信基地です。
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